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不妊治療クリニックの「産み分け外来」とは?

「次は女の子(男の子)がいい」「できれば希望の性別の子どもを授かりたい」──こうした思いをきっかけに、近年「産み分け外来」への関心が高まっています。一方で、実際にどこまで希望が叶うのか、妊娠や出産への影響はないのか、不安や疑問を抱えたまま情報収集をされている方も少なくありません。

本コラムでは、産み分け外来で行われている方法とその限界、向いている人・向いていない人、そして近年注目されている着床前診断(PGT)という選択肢について、できるだけ分かりやすく整理していきます。

産み分け外来で行われている方法

不妊治療クリニックや産婦人科医院で設けられている「産み分け外来」は、性別を確実に選択・保証する医療行為を行う場ではありません。主な目的は、性別に関する希望や背景を丁寧にヒアリングし、医学的に可能な範囲と限界を正しく伝えたうえで、現実的な選択を支援することにあります。

産み分け外来では、具体的に主に以下のような内容の提案が多く行われています。

・排卵日のタイミングを調整する「タイミング法」の指導

・膣内のpH環境を変えるための産み分けゼリーの使用の推奨

・食事や生活習慣の指導

・サプリメント(リン酸カルシウム:リンカル)の処方※主に男の子希望の場合

タイミング法については、自己判断で排卵日を推測するのではなく、クリニックで超音波検査やホルモン検査を行い、排卵予定日を比較的正確に把握したうえで指導が行われます。この点は、市販の排卵検査薬などを用いた自己管理よりも精度が高いと言えるでしょう。

また、男の子の産み分けを希望する場合には、リン酸カルシウム(いわゆるリンカル)と呼ばれるサプリメントが処方されるケースがあります。リンカルは体内環境をアルカリ性寄りに整えることでY精子が有利になるとされており、タイミング法などを合わせて補助的な使用が推奨されます。

これらはいずれも、X精子(女の子)とY精子(男の子)の性質の違いを利用し、受精の確率に“差をつける”ことを目的としたものです。ただし重要なのは、産み分け外来の方法はいずれも「確率を高める」ものであり、性別を確定させるものではないという点です。自然妊娠と比べれば多少確率は上がるという意見がありますが、希望の性別になる確率はさほど高いものではありません。

各産み分け方法の確率については、下記コラムをご確認ください。

産み分け外来の限界と注意点

産み分け外来で行われる方法は、いずれも保険適用外です。また、自然妊娠の男女比(理論上ほぼ50%)と比べて、確率が大きく上昇するわけではありません。

そのため、時間や費用をかけた結果、「思ったほど効果を感じられなかった」「結果的に希望どおりにならなかった」と感じる患者さんも少なくありません。

さらに重要なのが、「もし希望どおりの性別にならなかった場合、どう受け止めるか」という点です。不妊治療に携わる医師は、子どもを授かれずに悩む多くの患者を見てきています。その立場から、性別のみを理由とした人工妊娠中絶には否定的な考えを示す医療者が多いのが現実です。

産み分け外来が向いている人

以上を踏まえると、産み分け外来はすべての人に勧められるものではありません。

一方で、
「希望する性別はあるが、確実でなくても構わない」
「希望とは違う性別の子どもであっても、愛情をもって育てられる」
という考えを持っている方にとっては、産み分け外来を利用する価値は十分にあります。

産み分け外来は、性別を決めるための医療ではなく、
自分たちの希望や価値観を整理し、現実的な選択を考えるための場だと言えるでしょう。

産み分け外来が向いていない人

以下のようなケースでは、慎重な判断が必要です。

希望の性別以外は受け入れられない人

産み分けの成功率は決して高くなく、希望とは異なる性別で妊娠が成立する可能性は十分にあります。

そのため、子どもの性別に対して強いこだわりがある場合、妊娠成立後に大きな葛藤を抱えてしまうことがあります。

また、妊娠を継続するかどうかについて家族間で十分に価値観が共有されていない場合、気持ちのすれ違いや精神的な負担が生じる可能性もあります。産み分け外来を検討する際には、結果をどう受け止めるのかについて、事前に夫婦や家族で話し合っておくことが重要です。

性別の希望はあるが、一刻も早く妊娠したい人

性別へのこだわりが強すぎない一方で、「とにかく早く子どもを授かりたい」という思いが強い場合、産み分けのために妊娠確率を下げることが、かえって遠回りになってしまう可能性があります。

特に女の子の産み分けでは、Y精子よりも寿命が長いとされるX精子の特性を生かすため、排卵日からあえてタイミングをずらすなど、結果として妊娠しにくい環境を作ることがあります。妊娠を最優先にしたい場合、遠回りになる可能性があります。

妊孕性が低下しやすい年齢(目安として35歳以降)で妊娠を目指す人

年齢とともに卵子の数や質が低下していくことは、医学的に明らかになっています。35歳以降では、1周期あたりの妊娠率自体が低下するため、産み分けによって妊娠のチャンスをさらに絞ってしまうリスクがあります。

着床前診断(PGT)という選択肢

産み分け外来が「自然妊娠を前提とした確率調整」であるのに対し、より高い確実性をもつ医療技術として注目されているのが着床前診断(PGT)です。
PGTは、体外受精で得られた胚の一部を検査し、染色体異常の有無を調べる検査で、PGT-Aでは23対すべての染色体を対象とするため、結果として性別の判定も可能となります。

着床前診断を行うことで、流産リスクの低減、妊娠までの時間短縮、高齢妊娠における安全性の向上といったメリットが期待されます。この点において、PGTは産み分けに関して最も確実性の高い検査方法と言えるでしょう。

ただし、日本では性別選択のみを目的としたPGTは原則認められていません。一方、海外では性別判定を含むPGTが認められている国や地域もあります。
グリーンエイトでは海外の検査機関と連携し、国内クリニックでの採卵・体外受精後、検体輸送から検査、結果共有までを一貫してサポートすることで、日本にいながら安心してPGTを検討できる体制を整えています。

性別の希望とどう向き合うか

性別の希望を持つこと自体は、決して特別なことではありません。ただし、その希望が妊娠や夫婦関係にとって負担になっていないか、一度立ち止まって考えることも大切です。治療の選択肢は一つではありません。

大切なのは、「何を一番優先したいのか」を夫婦で共有し、その価値観に合った方法を選ぶことです。

まとめ

産み分け外来は、「希望の性別の子どもを授かりたい」という気持ちに向き合いながら、医療として可能な範囲と限界を整理するための外来です。排卵のタイミング調整や産み分けゼリー、リンカルなどの方法は、一定の考え方に基づいて行われていますが、いずれも性別を確実に決めるものではなく、不確実性を伴うことを理解しておく必要があります。

また、年齢や妊孕性、妊娠までにかけられる時間、精神的な負担の大きさによっては、産み分けを優先することで、かえって妊娠や出産までの道のりが長くなってしまうケースもあります。特に35歳以降で妊娠を目指す場合や、「できるだけ早く、できるだけ安全に妊娠したい」という思いが強い場合には、一度立ち止まって治療の優先順位を見直すことが重要です。

産み分け外来での相談をきっかけに、「本当に一番大切にしたいのは何か」「妊娠の確実性や出産の安全性をより重視したいのか」と考え直し、着床前診断(PGT)を含めた不妊治療の選択肢へと視野を広げる方も少なくありません。

大切なのは、どの選択が正しいかではなく、自分たちの価値観や状況に合った方法を選ぶことです。正しい情報を知り、納得のいく形で治療に向き合うことが、後悔の少ない選択につながります。

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