オーストラリアでの不妊治療、気になる実情と選択肢

オーストラリアに滞在中の日本人の方から、「現地で不妊治療を受けるべきか、それとも日本に戻ってからにするべきか迷っている」というご相談をいただくことが少なくありません。
理由はさまざまです。30代後半で一刻も早く治療を始めたい方、留学や駐在での長期滞在中に帰国を待つのが不安な方、日本で凍結胚を保存しているものの現地で移植を希望する方─状況は人それぞれですが、「どの国で治療を進めるか」という大切な選択に迷う方が多いのです。
そこで今回は、オーストラリアにおける不妊治療の特徴や日本との違い、そして両国をつなぐ手段としての凍結胚移送についてご紹介します。これから治療を検討される方が、自分に合った選択をする際の参考になれば幸いです。
目次
オーストラリアの不妊治療の特徴
不妊治療が一般的に受け入れられている社会
オーストラリアでは、不妊治療は非常に一般的な医療として社会に浸透しています。最新の統計によれば、国内で生まれる赤ちゃんのうち18人に1人が体外受精(IVF)によって誕生しているとされ、さらに35歳以上の女性に限れば「10人に1人がIVFで生まれた子ども」という研究も報告されています。
この数字からも、治療を選択することが特別なことではなく、ごく一般的なライフプランの一部として受け止められている様子がうかがえます。
治療技術の進歩と安全性の高さ
治療技術も年々進歩しており、この10年で成功率は大幅に改善しました。特に40歳前後の女性においても出産につながるケースが増えており、年齢的に厳しいとされる層への希望を広げています。
さらに、多胎妊娠を避けるために移植する胚の数を制限する方針が徹底され、安全性の面でも世界的に高く評価されています。
治療にかかる費用と保険制度の注意点
費用の相場
オーストラリアでは不妊治療の多くが私的クリニックで行われ、1回の治療サイクルにかかる費用は6,000~10,000豪ドル、日本円にしておよそ60~100万円とされています。
さらに複数回の治療が必要になるケースも多く、合計で数百万円規模の自己負担となるご家庭も少なくありません。
保険制度と対象者の違い
永住権を持つ方であれば国民保険制度(Medicare)の一部助成を受けられることもありますが、短期滞在者や留学生、駐在員の家族は対象外であることがほとんどです。
海外旅行保険や民間保険でカバーされる可能性も低く、基本的には全額自己負担になると考えておいた方がよいでしょう。
州ごとの取り組み
州によっては公的な不妊治療プログラムが整備されている地域もあり、ビクトリア州では所得や状況に応じて無償で治療を受けられるケースも出てきています。
ただし、人気が高いため待機期間が長くなる場合もあり、すぐに治療を始めたい方には向かないという課題も残っています。
治療を検討する前に知っておきたいこと
年齢による選択の違い
30代後半以上の方は「少しでも早く」と考えられる方が多い一方で、若い世代の方の中には「将来に備えて卵子や胚を凍結保存する」という選択肢を取る方もいます。
特にオーストラリアでは、将来に備えて卵子凍結を希望する女性が増えていることが報道されています。
多様なライフスタイルへの対応
現地の特徴として、シングル女性や同性カップルでも治療を受けやすい環境が整っている点が挙げられます。
日本では制限がある治療も、オーストラリアでは可能な場合があり、自分のライフスタイルに合った選択をしやすいのは大きな魅力です。
言語・文化の壁
説明や同意書はすべて英語で行われますので、医療専門用語や治療方針を正確に理解する必要があります。
十分な理解がないまま治療を進めてしまうと、費用や手続きの誤解につながりかねません。
日本語サポートがあるクリニックを選んだり、通訳を同席させたりといった工夫が必要になるでしょう。
日本との違い──制度や治療方針を比較する
費用と保険制度
日本では、条件を満たせば体外受精や顕微授精にも公的保険が適用され、自己負担額は大きく軽減されます。
一方で、オーストラリアでは多くが私費治療となり、経済的負担は比較的大きいといえます。
移植方針
日本では複数胚移植が行われることもありますが、オーストラリアでは安全性を重視して1胚移植が原則です。これは多胎妊娠のリスクを避けるための取り組みであり、出生後の母子の健康にもつながっています。
このように、費用・制度・方針の違いを理解した上で、「自分に合う治療の場所はどこか」を見極めることが重要です。
凍結胚移送という選択肢
オーストラリアに滞在している日本人の方の中には、すでに日本で採卵・凍結を済ませているというケースも多くあります。その場合、「日本で保存している胚をオーストラリアに移送して現地で移植する」という選択肢があります。
逆に、滞在中にオーストラリアで採卵し、将来的には日本で移植したいという方もいます。また、現地で治療を受けたものの、セカンドオピニオンや帰国後の治療を考えて胚を日本に戻したいというご相談も少なくありません。
凍結胚の国際輸送は、液体窒素を用いた特殊な容器でマイナス190度以下を維持し、空港でのX線検査を避けるといった高度な管理が必要です。書類や通関などの煩雑な手続きも伴うため、専門の輸送サービスを利用するのが一般的です。
グリーンエイトのサポート内容
グリーンエイトは、日本とオーストラリアを含む海外クリニック間の凍結胚輸送を専門にサポートしています。
経験豊富なスタッフが現地のクリニックと連携し、必要な書類や通関手続きを丁寧に進めるため、依頼者は治療に専念することができます。輸送に使用する専用容器は、液体窒素を用いてマイナス190℃以下の状態を長期間安定して維持できる仕様で、大切な胚を安全に守ります。また、空港でのX線検査を避けるルートを徹底して確保し、リスクを最小限に抑えています。
さらに、輸送中の温度記録をレポートとして提出するため、ご依頼者は「確かに安全に運ばれた」という安心感を得られます。こうした細やかな対応が、多くのご利用者様に選ばれている理由です。
まとめ──治療を「選ぶ自由」と「未来につなげる安心」
オーストラリアで不妊治療を受けるかどうかは、大きな人生の分岐点となる選択です。治療水準の高さや多様なライフスタイルへの柔軟性という魅力がある一方で、費用負担や言語の壁など、日本にはない課題も存在します。
大切なのは「どちらの国で治療を進めるか」を一度決めてしまうのではなく、両方の選択肢を持っておくことです。そのための手段として、凍結胚移送という方法があります。日本にある胚をオーストラリアに運ぶことも、オーストラリアで採卵した胚を日本に戻すことも可能です。
グリーンエイトは、その橋渡しを担う存在として、これまで多くのご家族の未来づくりをサポートしてきました。
オーストラリア滞在中に不妊治療を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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